口臭の原因というと、真っ先に思い浮かぶのが「においの強い食べ物を食べたせい?」ではないでしょうか。
もちろんそれも口臭の原因の一つとして挙げられますが、口臭には病的口臭と言って、体の中の不調が口臭となって現れてくることもあります。
病的口臭の中でも、重篤な病気が原因で口臭が発生するのは約10%とされているので、確率としてはそこまで高いものではありません。
でも、体の不調と口臭が同時に見られるようになることがあると不安ですよね。
まずは知識として、口臭の原因となる病気について知っておきましょう!
目次
汚い!不潔!臭いの元!口の中の病気が原因の口臭
病気と言っても、小さいものから大きいものまで様々です。病的口臭の大半の約90%は、どんな人でもかかり得る病気に原因があります。
口臭を発生させる口の中の病気としては、主に以下のものが挙げられます。
むし歯
きちんと歯磨きをしていても、磨きにくいところなど、口の中の微生物やそれが代謝してできた歯垢(プラーク)が歯に付着し、むし歯ができます。
むし歯の穴の中に食べかすやむし歯菌がたまってしまうと、独特の臭いを発生させるようになります。
表面を削って詰め物をすれば治る程度の軽いものであれば、口臭が強くなることはありません。
しかし、、むし歯が神経まで達して強い痛みを感じるようになると、その分においもキツくなります。
歯周病
初期の段階では症状らしいものは見られませんが、ひどくなると歯茎が赤く腫れ、膿や血が出てくるようになり、最悪歯が抜けてしまうこともあるのが歯周病です。
症状が認められるようになると、口臭も徐々に強くなってきます。
歯周病で発生する独特のにおいは、タマネギが腐ったようなにおいと言われることもあります。
歯周病は、特に初期の段階では自覚症状がほとんど感じられないため、気づかないうちに進行してしまいがちです。
定期的に歯科検診を受けて、早めに歯周病を発見・治療しましょう。歯石を除去してもらうのも、歯周病予防には効果的ですよ。
命に関わる病気も?!口臭の裏に潜む危険な病気7選
冒頭にも書いた通り、重篤な病気が原因で発生する口臭は約10%で、口の中のトラブルによる口臭と比較すると、かなり少なくなっています。
詳しく見ていきましょう!
糖尿病
糖尿病が原因の口臭は、リンゴが腐ったような甘酸っぱいにおいが特徴で、アセトン臭と呼ばれます。
健康な人は、インスリンという物質で体内に取り込まれた糖を分解してエネルギーに変えますが、糖尿病になるとインスリンが不足します。
すると、体は糖を分解する代わりに、タンパク質や脂肪を分解してエネルギーに変えるようになりますが、この時にアセトンを含むケトン体という物質が生成されます。
独特のにおいを持つケトン体が血液の流れにのって全身に運ばれると、口臭や体臭となって現れます。
耳鼻咽喉系の病気
肉が腐ったようなにおいが特徴です。疑われるのは、以下のような病気です。
- 鼻炎
- 副鼻腔炎
- 扁桃炎
- 喉頭炎
- 咽頭炎
- 咽頭腫瘍
- 咽頭がん
上記のような病気で、鼻で呼吸するのが辛くなると、つい口呼吸になりがちです。すると、口の中が乾いてしまい、口臭が強くなる可能性もあります。
呼吸器系の病気
こちらも、肉が腐ったようなにおいが特徴です。考えられる病気としては、以下のようなものが挙げられます。
- 肺炎
- 肺がん
- 肺結核
- 肺腫瘍
- 気管支拡張症
消化器系の病気
上の2つ同様、こちらも肉が腐ったようなにおいが特徴です。疑われるのは、以下のような病気です。
- 胃がん
- 慢性胃炎
- 食道ヘルニア
- 食道気管支瘻(しろう)
- 逆流性食道炎
逆流性食道炎では、胃液の酸っぱいにおいが感じられることもあります。
肝機能の低下
肝機能の低下で起こる病気は、主に以下の通りです。
- 肝炎
- 肝硬変
- 肝臓がん
肝機能の低下がそこまで深刻でない段階では、排水溝やドブのようなにおいが特徴です。深刻になってくると、強いアンモニア臭がするようになります。
腎機能の低下
腎不全などにより腎機能が低下すると、本来腎臓が処理して体外に排出されるはずのアンモニアなどが体の中にためこまれてしまいます。
そのため、腎機能の低下による口臭ではアンモニア臭がするようになります。
トリメチルアミン尿症
魚臭症とも呼ばれる症例が少ない珍しい病気で、魚が腐ったようなにおいが特徴です。
トリメチルアミンというにおいの原因となる物質が何らかの原因で発生するようになり、きちんと分解されず、それが口臭や体臭となって現れます。
こんな時には要注意?!2つの病的口臭の特徴!
口臭と一口に言っても、実は大きく2つに分けられ、1つはここで解説した病的口臭、もう1つが生理的口臭です。
例えば、朝起きた時に、口の中が乾燥して嫌な感じだなと感じた経験はありませんか?
普段は唾液が口の中をきれいにしてくれていますが、寝ている間は唾液の分泌が少なくなるので、細菌が元気に活動して、口臭を発生させてしまうんです。
このように、生理的口臭とは誰にでも起こり得る口臭のことで、上の例以外ではにおいの強いものを食べた時、お腹が空いた時、過度に緊張した時などに発生します。
生理的口臭のほとんどは一時的なもので、歯磨きをしたり、水を飲んだりすることで解消することができます。
でも、病的口臭は病気に根本原因があるので、口腔ケアなどでは解決できません。
「毎日ちゃんと歯磨きしてるのに……どうして?」、そんな不安を感じたら、まずは歯科で診てもらうことをおすすめします。
もし同時に体の不調も感じるようであれば、病院を受診して診てもらうのも良いでしょう。
口臭=病気にかかっているではないものの・・・
知っておいて欲しいのは、口臭があるからと言って絶対に病気が隠れている、とは言えないということです!
上に書いたような重篤な病気の名前を目にすると、当然不安になるでしょう。でも、これはあくまで可能性の一つなので、絶対ではありません。
人はストレスを感じることによっても唾液の分泌が減り、生理的口臭が強くなることもあります。
「病気かもしれない、どうしよう」などと考えすぎることで、口臭を悪化させてしまうこともあるんです!
「病気はあくまで可能性の一つ」と捉えて、できるだけ考えすぎず、不安が強まるようであれば早めに病院を受診しましょう。
それで病気がないとわかれば、安心して心も解放されますからね。
まとめ
むし歯や歯周病など口の中の病気は想定内でも、こんなに怖い病気が口臭を発生させるなんて驚きでしたね。
繰り返しになりますが、口臭があるから100%病気にかかっているというわけではないので、心配しすぎないようにしてくださいね。
知識として知っていれば、なかなか口臭が消えなくて不安な時も、比較的冷静に早めに対処できるのではないでしょうか?この情報を少しでも役立ててもらえたら、と思います。